愛媛県八幡浜市の道の駅・港オアシス「八幡浜みなっと」の緑地公園には、たくさんのかまぼこ板を使って作られた東屋「かまぼこカーテン」があります。市民の憩いの場所となっている「かまぼこカーテン」にまつわる10のひみつをご紹介します。
ひみつ 1)集められたかまぼこ板の数は約80,000枚?
かまぼこカーテンを作るには、使用済みのかまぼこ板が、40,000枚必要でした。
それも、約2か月という短い期間で集めなくてはなりませんでした。
まず、かまぼこ板回収BOXを実行委員会で制作し、八幡浜市内の各小中学校、高等学校、公民館、市役所、スーパー、県庁をはじめとした県内の支局などに設置させていただきました。そして、市役所横の元テニスコートのフェンスに、かまぼこ板カウントダウンパネルを設置し、毎日、実行委員会のメンバーが、集まったかまぼこ板の枚数を数えて、あと何枚という数字を変更してくれました。
それでも、なかなか集まらず、テレビやラジオでも募集を呼びかけました。
すると、今治と、新居浜の方から「今、寝たきりになっており、直接持っていくことはできませんが、宅急便で送っても構いませんか?」という問い合わせがありました。そして送ってきていただいたかまぼこ板には、心のこもった絵が描かれておりました。このように、愛媛県中の方が、いろいろな形でご協力下さり、最終的に、かまぼこ板は約80,000枚が期限までに集まりました。当時、ご協力いただきましたみなさま、本当にありがとうございました!!
愛媛には、まだまだかまぼこ板が眠っているかもしれません!
ひみつ2)みなっとにはじめてできたのが「かまぼこカーテン?」
実は、かまぼこカーテンは、平成22年8月に完成しました。道の駅・港オアシス八幡浜みなっとは、平成25年4月に完成し、オープン致しましたので、かまぼこカーテンができた当初、その周りにはまだ何もなかったのです。
ひみつ3)「かまぼこカーテン」は全国公募デザインだった!?
かまぼこ板で、東屋を設計してくださいと、全国の設計事務所や設計を学んでいる学生のみなさまに公募したところ、19作品の応募がありました。その中の3団体には、実際に八幡浜のゆめみかん大ホールでプレゼンテーションをしていただきました。そのとき、市民のみなさまに、かまぼこ板を1票として投票していただき、審査員の先生方と市民投票の合計総数で実際に造る案が決定しました。
最優秀賞に輝いたのは、日本大学大学院佐藤光彦研究室のみなさまの案「かまぼこカーテン」でした!
ひみつ4)「かまぼこカーテン」の審査委員長は、かの有名なアートディレクターだった!?
かまぼこカーテンに決まったいきさつは、ひみつ3で述べましたが、その時の審査委員長は、「越後・妻有アートトリエンナーレ」や「瀬戸内国際芸術祭」のアートディレクターを務められている「北川フラム」氏でした。審査会では、北川フラム氏の講演「アートで『まちいく』」をお話いただき、瀬戸内国際芸術祭を、今後は瀬戸内全域に広げたいなど、夢が広がるお話を頂きました。そして、飛行機から見えた、日本一細長い半島「佐田岬半島」にもご興味を示されておりましたよ。
ひみつ5)かまぼこカーテンはすべて手作りだった!?
これも本当の話です。日本大学の学生さんがのべ50名八幡浜に滞在しながら、八幡浜高等学校美術部の生徒さんを含む八幡浜のボランティアと力を合わせて、約2週間で造り上げました。
佐藤光彦先生の指揮のもと、寝かせて作っていたかまぼこカーテンを立ち上がらせた瞬間は、参加者一同感動致しました。
このときも、ボランティアでご参加頂きましたみなさま、そして、毎日のように、アイスやジュース、ごはんの差し入れ、宿泊施設の提供、各種日大生割引をしてくださいました八幡浜市民のみなさま、本当にどうもありがとうございました!
八幡浜の支援力の高さを感じるプロジェクトになりました。
ひみつ6)地鎮祭を執り行ったのは実行委員メンバーだった!?
このときのプロジェクトを推進するにあたり、芸術に関わっている方々にお声をかけさせていただきました。八幡浜高等学校美術部をはじめ、八幡浜市内のいろいろな方々がご参加くださり、「八幡浜芸都実行委員会」を立ち上げたのです。八幡浜が芸術の都になりますように・・・という意味と、港という交易の発信基地としてのゲート(門)の二つの意味を持たせました。
実行委員会のメンバーの中に、宮司さんがいらっしゃいましたので、地鎮祭を執り行っていただきました。このように、いろいろな強みを持つメンバーが集まり、個々の強みを活かして協力していただいたことで、プロジェクトが成功したのではないかと思います。
ひみつ7)珍百景にも登場する寸前だった!?
「なぜか?かまぼこ板をたくさん集めていて、かまぼこ板あと何枚集めないといけないかという、カウントダウンの看板を市役所横に設置してある光景」・・・として、取材を受けました。実際には放映されませんでしたが、自分たちにとっては当たり前のことが、周りから見ると面白いことってあるのだなと感じました。
ひみつ8)選ばれなかった2つの案もとても面白かった!?
最終的に選ばれたのは、日本大学大学院佐藤光彦研究室のみなさまの案でしたが、第一次公開審査でプレゼンテーションしてくださいました、他の2つの案もとても面白かったのでご紹介します。
優秀賞 「客のおおいざる」渡邉美樹/足利工業大学渡邉研究室
優秀賞 「Pile+」東京理科大 理工 小嶋研究室
ひみつ9)「かまぼこ板」は取り替え可能である!?
かまぼこ板に通してある鉄筋は長期間持ちますが、かまぼこ板は木材なので、木材の防腐塗料を塗布してはいるものの、段々と朽ちてきます。いよいよ朽ちてしまったときは、新しいかまぼこ板を鉄筋に通すことで、新たな「かまぼこカーテン」ができあがります。新陳代謝まで考えてくれたデザインなのです。
ひみつ10)晴れの日より、台風の日の方が強い!?
「かまぼこカーテン」は、かまぼこ板で出来ておりますから、雨に濡れると膨張し、晴れたり乾燥したりると収縮するという特性があります。つまり、台風の日のように、雨が降っている時、水分を吸ってかまぼこ板が膨張してお互いに押し合うため、強度が強くなるのです。設置してから、この乾燥・収縮を繰り返しておりますので、段々と全体的に縮んできております。実行委員を中心に、段階的に、鉄筋を締めているボルト・ナットの締め直しを行っています。
それ以外にも、市民の憩いの場所にある「かまぼこカーテン」を長持ちさせるため、定期的に防腐塗料の塗り直しも行っております。一緒に塗り直しをしていただける方を定期的に募集いたしますので、ぜひ、ご参加下さいませ!
また、かまぼこカーテンは、いろいろなことに使用されております。日差しが強いときには、日除けになり、涼しい浜風を運んでくれますし、子どもたちの遊び場にもなっております。結婚式の前撮りの背景にもなるし、高校生の卒業記念写真を撮影する背景になったりなど、記念イベントにも活用されております。他にも、写真展の展示場になったり、シンポジウムが開かれたり、お茶会が開催されたり、冬にはライトアップされて夜にも美しい姿を見せてくれています。
そんな「かまぼこカーテン」でのひと時を、どうぞお楽しみください。
【かまぼこカーテン】
住所:愛媛県八幡浜市沖新田1581−23 八幡浜みなっと緑地公園内
駐車場:195台
HP:http://www.minatto.net/data