こんにちは。
KITONARUが誇る“鉄道ジャーナリスト”の菊池です。
こういう肩書きは実態や実績はともかく名乗ったもん勝ちです。
さて、今回もいつものように美味しいグルメレポートをするつもりだったのですが、まん延防止等重点措置等による不要不急の外出自粛が要請されている中、この時期の取材は適切ではないと判断し、菊池が語る日にしようかなとなったわけです。
ということで!
編集長の寛大さにつけ込んでKITONARUを私物化し、人生を生きていく上で特に必須ではないのに菊池が語りたいシリーズの記事をお届けします!
四国に新幹線の計画はある!
四国新幹線の名前を聞いたことがある方は多いと思います。
JR四国はJRの旅客会社で唯一新幹線を持っていない会社ですが、構想は古くからありますし、瀬戸大橋や大鳴門橋(鳴門海峡大橋)には新幹線を配線する場所がすでにあります。
しかし、そうはいっても国家プロジェクトに匹敵する予算がかかるため現実には進んでいるとは残念ながらいいがたいところです。
四国新幹線については四国新幹線整備促進期成会のホームページに詳しく書いてありますので、気になる方はぜひそちらをご覧ください。
http://www.shikoku-shinkansen.jp/
新幹線の建設は非常に時間もお金もかかる。
ただ、特急列車は走っているじゃないか。
だったら新幹線じゃなくて特急を大阪駅や広島駅へ直通させればいいんじゃないの?と意見が出るかもしれません。
しかし、あまりそういった話を聞かないのはなぜなのでしょうか。
今回の記事は、四国の鉄道事情などを含めて菊池が独自の視点で考察したものをお届けしようと思います。
もう一度いいますが、今回の記事は菊池が語りたいだけなので、この先の人生を生きていく上であまり必要はありませんのであしからず。
四国新幹線とは?
まず四国新幹線について簡単に話しておこうと思います。
上で案内しているサイトをご覧くださいといっているのでごく基本的なところだけにしておきます。
四国新幹線は昭和48年に基本計画が決定した新幹線です。
もう50年近くも前に計画は決まっていたんですね。
しかしその後のオイルショックなどで計画は進んでいません。
計画は、岡山市から瀬戸大橋を渡って高知市を結ぶ四国横断新幹線と大阪市から徳島市、高松市、松山市を経由して海を渡って大分市へ結ぶ四国新幹線の二つがあります。
仮に四国新幹線が完成して、リニア中央新幹線(新大阪駅~品川駅)と接続すれば東京駅~松山駅は約3時間で結ばれるといわれています。
四国内では松山駅から高知駅へは50分ちょっと、高松駅へは40分ちょっと、徳島駅へも1時間ちょっとで結べるとの算段です。
現状では松山駅から高知駅へは4時間以上かかるので時間短縮効果は絶大です。
まあ、問題はこの先の少子化で人口が減っていく(=需要が先細る)にも関わらず、建設費用をどう償還するかなのですが。
この記事ではその辺のことは棚上げしておきます。
新幹線の父と呼ばれた西条市出身の十河信二の記念館も西条駅前にありますよ。
※2021年5月19日まで(予定)休館中です。
岡山駅での乗り換えは本当に不便なのか?
現状、愛媛県から大阪方面に鉄道で向かうとすると、岡山駅で山陽新幹線に乗り換える必要があります。
これは手間なので大阪方面に直通する特急はできないのかという意見もあります。
一見するととても便利そうなのですが、本当にそうなのか菊池独自の視点で分析してみました。
松山駅~岡山駅・高松駅
現在、松山駅~岡山駅間は特急しおかぜ号が毎時1本のペースで運行しています。
そして松山駅~多度津駅間は、高松駅行きの特急いしづち号と併結(同じ列車として一体化)しています。
愛媛県内の予讃線は単線(1本の線路を上りと下りで共有している)なのでこれ以上本数を増やせないという事情があります。
基本的にしおかぜ号が5両、いしづち号が2両の合計7両編成で運転されています。(一部特急は5+3の8両編成です)
つまり、松山駅から岡山駅へ向かう人と高松へ向かう人の割合は5:2になると考えられます。
この7両編成の特急列車は、新型の車両(JR四国8600系電車)の場合、定員が355名です。
終点に満員で到着したと仮定すると、岡山駅へは254名、高松駅へは101名を輸送することになります。
とりあえず1回につき約250人が岡山駅へ到着するとして話を進めましょう。
岡山駅~大阪駅
岡山駅から先はいくつもの行き先があります。
まずは目的地が岡山駅だった人です。
特に根拠はありませんが、とりあえず全体の3割だと見積もっておきましょう。
次に広島駅方面へ向かう人です。松山市から広島市へはしまなみ海道をバスで移動するか、松山観光港からフェリーで呉・広島港へ向かうのが早いので1割くらいにしてみました。
続いて津山駅や鳥取駅方面へ北上する人です。
ルートは津山線と上郡駅経由の特急とありますが、あわせて1割としました。
そして残りの5割を今回の話題になっている大阪方面へ向かう人だとします。
つまり250名が到着したとして、125人が大阪へ向かう人と仮定します。
岡山駅から新大阪駅までは新幹線だと約45分です。
一方、在来線の特急での所要時間は、直通している特急列車が寝台列車のサンライズ号しかなく深夜早朝時間帯のため参考にはあまりなりません。
かわりに、岡山駅~上郡駅を特急スーパーいなば号、上郡駅~大阪駅を特急スーパーはくと号が走っているので、この時間を合計するとだいたい約2時間ほどです。
ただ、岡山駅~姫路駅間はJR山陽本線のなかでも屈指の利用者が少ない区間で、特に県境付近では1時間に1本程度の普通列車が走るのみです。
また、姫路駅から大阪駅方面は15分おきに乗車券のみで乗ることができる新快速が終日運転しており、この区間を走る特急列車に追い抜かれることはありません。
つまり、姫路駅から先は特急料金を払っても速達性がないことになってしまいます。
そうなると追加の乗客が見込めない中で、1時間15分の時間差を許容でき、しかも特急でも在来線快速と同じスピードでいい人だけが大阪直通特急を利用することになります。
とはいえ、新幹線は新大阪駅に着くから大阪駅に直通した方が便利ではないか。
確かにその意見も一理あります。
ただ、目的地が難波だった場合、どのみち大阪駅(梅田駅)で地下鉄に乗り換えるのでほとんど誤差範囲になってしまいますし、目的地が京都駅ならまだしも、その先の米原駅や名古屋駅だった場合は新幹線の速達性がどんどん圧倒的になります。
金額的にも新幹線と特急列車を乗り継ぐ場合は、特急料金が半額になるのでものすごく有利かというとそうでもない。
しかも、時間的な問題も乗り越えなければならない。
大阪駅直通特急の夢、破れる。
結論:新幹線よ、来い!
いろいろと模索してみましたが、需要に対してメリットが少なすぎるように感じました。
まして、松山市~大阪市は飛行機の方がよく利用されます。
やはり鉄道で行くとなると新幹線が欲しいのが正直なところです。
さすがにすぐには難しい問題ですが、例えば視点を変えて、東京駅から高松駅まで走っている特急サンライズ瀬戸号を松山駅まで運転できないか。
現在は、サンライズ号の車両がトンネルを通過できないため実現していませんが、かつては寝台特急瀬戸号が松山駅まで運転していました。
移動手段として考えれば新幹線の建設が期待されますが、旅行手段としては少ない投資でも魅力的な内容が見つかるのではないでしょうか。
ちなみに新幹線みたいな列車には四国でも乗れます。
旅行、そろそろ行きたいですよね。
旅行計画くらいはお早めに!