南予の“ものづくり”に関わるひとに会いに行きます!南予地域活性化支援チーム(生産者・工芸家班)です。
今回は、国指定の伝統工芸品でもある「大洲和紙」(五十崎和紙)を使用した製品の開発・製造・販売を行う「株式会社 五十崎社中」さんです。下の写真のような、伝統工芸品の大洲和紙とフランスの伝統的な金箔技法である“ギルディング”を組み合わせたギルディング和紙や和紙ジュエリーを作られています!
南予地域活性化支援チーム(生産者・工芸家班)のメンバーで五十崎社中さんを訪問し、代表の齋藤宏之さんに大洲和紙のこと、新たな大洲和紙の魅力を伝える五十崎社中さんの取組についてお話を伺ったほか、ギルディング和紙のポストカードづくりワークショップにも参加させていただきました。
前編・後編に分けてお伝えする今回は、大洲和紙や五十崎社中さんについての記事になります。
国指定の伝統工芸品 “大洲和紙”のこと
愛媛県には、国指定の伝統工芸品が2つありますが、その1つが内子町五十崎地区を中心につくられている「大洲和紙」です。豊富な水があり、また、気温も適した(暑すぎない)五十崎地区で作られる書道用紙や障子紙は国内でも評価が高いものですが、一方で生活様式が変わりこうした和紙製品の需要が減るなかで、伝統的な五十崎地区の和紙産業の継承に向けて様々な新しい取組をされているのが、五十崎社中の代表・齋藤宏之さんです。
株式会社 五十崎社中のはじまり
もともと関東で企業に勤めていた齋藤さん。
内子町で大洲和紙に関わるきっかけとなったのは、義父が内子の手すき和紙産業を盛り上げる事業に参加していたこと。その活動の一環でパリの展覧会を訪問した際に縁が出来たデザイナーのガボー・ウルヴィツキさんに「和紙をもりあげるための付加価値」を求めて相談し、2008年にガボーさんがギルディングの技術を教えるべく内子町に滞在することになったことを契機に齋藤さんも内子町へ“Iターン”、「株式会社 五十崎社中」を立ち上げました。
株式会社 五十崎社中の取組
五十崎社中では、生活様式の変化も踏まえ、新しい和紙商品の制作・販売を行っています。大きくは①壁紙などの大きな建築建材 と ②はがきやアクセサリー等の小物の2種類。色々なデザイナーの方々とコラボしながら、魅力的な和紙製品を多くつくられています。
なかでも五十崎社中ならではの製品が、「ギルディング和紙」と「こより和紙」です。
ギルディング和紙
ギルディング和紙は、ガボー・ウルヴィツキさんから学んだヨーロッパの金箔技法・ギルディングで和紙を装飾したもので、世界でも“五十崎社中だけ”のオンリーワンの技術をつかった製品です。優しい味わいの大洲和紙にきらきらと輝く金箔が印象的。建築内装などのインテリア用品や、はがき・アクセサリー等の小物に加工されています。ギルディング和紙のポストカードは人気商品で、きらびやかなポストカードはフォトフレームに入れて飾ってもおしゃれ。また、牛鬼や闘牛など南予地方ならではのデザインも展開されており、お土産にもおすすめです。実はこのギルディング和紙の技法を使って、これまでにスヌーピーなどの人気キャラクターとコラボし商品制作を行ったこともあるのだとか。「職人さんのテンションも上がるんです」と、作り手のみなさんも楽しみながら和紙の可能性が様々な方向に展開されています。
五十崎社中では、このギルディング技術を体験できるワークショップも開催されています(ワークショップについては後編で紹介します)。
こより和紙
こより和紙は、和紙をこよって糸状にしたものを編んだものからつくった網目状の和紙で、光との相性が良く、建物内装やインテリアに使用されています。このこより和紙も、ここ・五十崎社中で生み出されたオンリーワンの技術になります。
また、最近では、愛媛県内のもう一つの国指定伝統工芸品である砥部焼の窯業技術と技術を共有し、立体成型などにもチャレンジされています。
「紙は素材として色々なものとコラボレーションができたり、可能性がある。デザインと組み合わせるとアートにもなる。」と話す齋藤さん。大洲和紙の様々な可能性を日々模索し、職人の皆さんと共に新しい取組にチャレンジされている姿勢がとても印象的でした。
その齋藤さんの目標は、五十崎社中のメンバーを増やすこと。「手工業品なので、機械化ではなく、メンバーを増やしたい。組織として、産業として盛り上がっていけば、ここ(内子町)で働きたい人も増えるし、人の流れが出来れば町おこしにもなる」。齋藤さんをはじめ、貴重な伝統工芸品である「大洲和紙」の技術を継承し、魅力を引き出し続ける五十崎社中のみなさん。私たち世代にはこれまでなかなか馴染みのなかった“和紙”ですが、大洲和紙の魅力と新しい可能性をたくさん知ることができ、生活のなかに取り入れてみたいな、と感じた日でした。
この日、私は天神産紙工場[和紙・加工品の直売所]にて早速和紙を買って帰りました。店内には様々な手すき和紙がならんでおり、「和紙にはこんなにもたくさんの種類があるんだ!」と驚きました。これまで、紙といえば“文字をかくための道具”のひとつといったイメージでしたが、齋藤さんにお話を伺い様々な使い方があることを知り、購入した温かみのあふれる素敵な和紙を眺めながら「どうやって使おうかなあ」とわくわくしています。
五十崎社中さんの和紙製品は、この天神産紙工場のほか、愛媛県内各地や東京都、オンラインでも商品を購入できますので、ぜひチェックしてみてください。
- こんなところで購入できます!
・・大洲和紙・大洲和紙加工品を販売。全ての商品を購入できます。
・・【住所】喜多郡内子町平岡甲1240-1
・・【電話】0893-44-2002
・・【営業時間】8:30~17:00
・おおず赤煉瓦館(大洲市)
・愛媛県美術館ミュージアムショップ(松山市)
・伊織 松山店(松山市)
このほか、詳細やイベント販売などの情報は、五十崎社中のWebサイトやSNS等をご確認ください。
【Instagram】@ikazakishachu
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