今年は小幅な変更のみ!2023年3月のダイヤ改正とこれからのJR四国を考える

こんにちは。
今年も登場、鉄道旅行ライターのトラベラー菊池です。

毎年恒例のJR四国ダイヤ改正の時期がやってきました。
今年はいつもより1週間遅い18日土曜日にJR各社のダイヤ改正が実施されます。

 

というわけで、今回の記事はKITONARUでたまにある「人生でほとんど役に立たない、菊池がただ書きたいだけの記事。だいたい鉄道絡み」のシリーズです。

ここんところは毎年ダイヤ改正のポイントを書いているのですが、実は今年はほとんど変更がありません。
なので今年は今後のJR四国の行く末なんかもコラム的に考察してみようかなと思っています。

おことわり

この記事に記載されている内容は、引用されている実データ部分を除いてライターである菊池個人の見解です。

 

愛媛県のJR四国ダイヤ改正のポイント

まずはダイヤ改正の部分です。

毎年この時期になると楽しみな時刻表3月号

愛媛県ではまず、予讃線の特急列車の岡山駅での乗り換え時間が短くなります。
といってもダイヤは現在と同じですし、高速化をしているわけでもありませんので、岡山駅で新幹線に乗り換える方以外はあまり関係ないと思います。

続いて予土線です。
こちらは昨年夏の落石の影響で臨時ダイヤになっていましたが、それが正式ダイヤになった改正が実施されます。
ただ、基本的に高知県部分の窪川駅から江川崎駅までの区間での話ですので愛媛県部分での大きな影響はなさそうです。

ダイヤ改正の話はなんともうおしまいです。
ほとんどが現状維持ということで、これはこれでいい事だと考えたいですね。

 

これからのJR四国を考える

ニュースでご存じの方もいると思いますが、JR四国は現状で全線が赤字です。
だいたい他のJR各社は、超黒字路線のいわゆる「ドル箱路線」が「地方の赤字路線」の収入を穴埋めする形で成り立っています。

たとえばJR東日本だと、新幹線や山手線などの首都圏の路線で稼ぎ出している黒字で、東北や信越の地方路線も維持しています。

ところが!
JR四国にはドル箱路線がないのです!
つまり「広く浅く(時に深く)赤字路線しかない」状況です。

ちょっと前に公開されたデータになりますが、どのくらい赤字なのを見てみましょう。

コロナ禍前の2019年度は瀬戸大橋線以外は全部赤字で、瀬戸大橋線が辛うじて黒字という状況でした。
そして、コロナ禍に突入した2020年度では最後の砦であった瀬戸大橋の区間も赤字となってしまい、JR四国は全路線の全区間で赤字となっています。
ちなみに2020年度の赤字額はJR四国全体で約225億円です。

国土交通省の「鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会(以下、有識者検討会)」において提言された、赤字鉄道路線の運行見直し(廃止・バス転換など)の基準があります。
それは、輸送密度という指数を使って、それが1000人/日以下の場合は今後のあり方を検討するようにとのものでした。

県庁所在地である松山駅でも1~2両編成の列車が主流。

※輸送密度とは
路線1キロあたりの1日の平均旅客輸送人員のこと。10キロの区間を1日で10人のお客さんが乗車した場合、輸送密度は1人/日です。

これをもとにJR四国のデータに当てはめてみましょう。

・予讃線:向井原駅~伊予大洲駅(※伊予長浜駅経由の通称海線。実際の運転区間は伊予市駅~伊予大洲駅)
・牟岐線:阿南駅~海部駅(※現在の牟岐線の終点は海部駅の一つ徳島駅寄りの阿波海南駅)
・予土線:北宇和島駅~若井駅(※実際の運転区間は宇和島駅~窪川駅)

この3区間が輸送密度1000人/日以下です。

この区間は、営業係数という100円収入を得るために経費がいくらかかるかを示す指数も軒並み悪く、2019年のデータでは、上記の区間に限ると予讃線は541円、牟岐線は843円、そして予土線では1137円となっています。
これがどういうことかというと、例えば予土線の場合、鬼北町の近永駅から松野町の松丸駅までの乗車券は210円なので、この区間では乗客一人につき経費が2387円かかっているということです。
いうまでもありませんが、超赤字です。

では予土線を廃止すればいいのかというと、そう簡単な話でもないのですね。

予土線は、輸送密度や営業係数がJR四国でも屈指の悪い区間なのは間違いないのですが、その実、赤字額もJR四国屈指の悪い区間なのかというとそうではありません。
2019年度のデータでは、赤字額が最も多いのは土讃線の琴平駅から高知駅の区間で、予土線の2.2倍の赤字額を出しています。
ちなみに2020年度だと2019年度と同じ土讃線(琴平駅~高知駅)の赤字額は予土線の赤字額の約3倍です。
予土線は土讃線に比べれば圧倒的に走っている列車の本数が少ないため、かかる経費も少ない=赤字額そのものも小さいというわけです。

そうなると、予土線を廃止するよりも土讃線の琴平駅から高知駅を廃止した方がお金が残ることになります。

ただ!
そんなわけは実際ないのはわかると思います。

仮にこの区間を廃止した場合、高知駅の利用者が同じだけ残るわけがありません。
高知駅の先の須崎駅方面や、琴平駅と高知駅の間にある阿波池田駅から徳島駅方面の徳島線の利用者は当然ですが激減して、ほかの区間も引っ張られるように赤字が深刻になるであろうことは想像することは難しくありません。

これはコロナ禍前の瀬戸大橋線だけが黒字だったことにも共通しているのですが、瀬戸大橋線は、岡山駅から松山駅へ向かう特急しおかぜ、高知駅へ向かう特急南風、徳島駅へ向かう特急うずしお(の一部)、そして高松駅へ向かう快速マリンライナーのいいとこ取り区間だからです。
しかも前者3つは特急列車なので乗車券とは別に特急券の収入がありますし、マリンライナーも基本的には一部に指定席やグリーン席があり、乗車券以外の収入もあります。
さらに瀬戸大橋の区間は運賃も110円の特別加算があります。

愛媛県から岡山駅へ行くは基本的に特急列車に乗ります。

この赤字額の話、予土線以外の輸送密度が1000人/日以下の区間でもおなじことがいえます。

よく表に出る数字だけだと見えにくいものもあるんですね。

高架整備されているJR松山駅

北海道新幹線が開業したことで、新幹線がないJRは貨物を除けば四国だけになりました
全線開通していない北海道新幹線以外は新幹線は各社とも基幹になるような収益を上げる路線になっています。

四国にも新幹線の早期開業を望む声がありますが、一方で並行する在来線は北陸や東北では第三セクターとなって運賃が上がったり、北海道では大半が廃線になることになっていたりします。

どういった鉄道交通形態が本当にいいのか。
これからの状況も注視しながら見守っていきたいですね。

 

○高架工事が来年秋完成予定のJR松山駅
住所:松山市南江戸一丁目
電話番号:089-943-5101
窓口営業時間:4:50~21:00

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