こんにちは。
車社会の愛媛県において、それなりに鉄道の記事を書いている(自称)トラベルライターの菊池です。
今週の水曜日の記事は、2020年3月14日に実施されるJR四国のダイヤ改正について、そのポイントを愛読書でもある時刻表を読み解きながらお届けします。
誰得記事だって?
そんなことないですよ、きっと。
ダイヤ改正とは?
ところでダイヤ改正とはなにかからまずは説明しておこうと思います。
鉄道(をはじめとする公共交通機関)が時間通りに来るのは皆さんも常識としてご存じですよね。
日本は世界の中でもトップクラスに正確だそうです。
じゃあその時間通りってなんでしょうか?
あらかじめ公示されている時間の通りにやってくるかどうか、ということです。
この「あらかじめ公示されている時間」が改正されることを「ダイヤ改正」といいます。
なぜ改正が行われるかにはいろいろな要素がありますが、例えば車両が新しくなってスピードアップしてかかる時間が短くなったとか、接続する列車の乗り換えに10分取っていたけど5分で大丈夫そうになったとか、あと10分遅いと特急列車からの乗り換えが出来そうだからそうしようとかです。
実情に応じた最適化をしているということですね。
そのダイヤ改正が3月14日に行われます。
JR各社が一斉に行うのですが、これは会社を越えて直通運転をしているからです。
JR四国の場合、会社を越えて直通運転をしているのは瀬戸大橋を越える瀬戸大橋線(※)のみですが、毎日たくさんの列車が運転されています。
※正確には本四備讃線が会社を越えて直通している路線名。宇野線と予讃線の一部を加えた岡山駅~高松駅の区間を瀬戸大橋線と愛称で呼ぶことが多い。
JR四国内乗り放題のきっぷも基本的には本州にある児島駅まで行くことができますよ。
そんなわけで、毎年3月は時刻表のデータが大幅に変わる時期でもあるので、年に1回時刻表を買うなら3月と決めている人も多いのではないでしょうか。
菊池もそうです。
さて、前置きが長くなりました。
今回はJR四国のうち、愛媛県を走る予讃線(内子線も含む)と予土線のダイヤ改正ポイントを、交通新聞社さん発行の全国版コンパス時刻表2020年3月号から読み解いて菊池なりに解説したいと思います。
が!
好き放題に記事を書いたらすんげえ長くなってしまったので、バランスを考えて今週は基礎知識&予土線編、来週を予讃線編として2週にわたってお届けします!(マジかよ)
なお、愛媛県の端っこの駅は予土線では真土駅ですが、高知県の江川崎駅までが一つの運転区間の区分になっているので、今回の記事では県外情報ですが扱うことにします。
また、記事中に「4665M列車」など、列車番号を表記していますが、特筆しない限りダイヤ改正前のものです。
列車番号についてはこのあと解説を入れますが、菊池が説明したいだけであって、人生を生きていく上で知らなくてもまったく問題ない情報なので、興味ない人は省略して読んで頂いても大丈夫です。
列車番号ってなに?
さて、普段使う上でまったく気にならないと思いますが、すべての列車(※)には列車番号が割り振られています。
※お召し列車(天皇皇后両陛下、上皇上皇后両陛下、皇太后陛下がご乗車になるための専用列車)は列車番号がありません。ただし、システム管理の便宜上で列車番号が割り当てられることもあります。専用列車ではない場合(例えば定期運行の新幹線にご乗車される場合など)はお召し列車ではありません。
具体的には、JRでは4桁の数字+アルファベットが一般的です。
JR四国は他のJR各社と比較してシンプルな法則です。
まずアルファベット部分ですが、MとDしかありません。
Mは電車、Dはディーゼル車です。
「電車」というのは架線から電気を受け取ってモーターを回している列車のことで、愛媛県では予讃線の伊予市駅より東側と伊予鉄道の全線(市内電車も含むが坊っちゃん列車は除く)が電車です。
ただし、伊予市駅より南へ直通する列車は電車ではムリなので、松山駅~伊予市駅でもディーゼル車が走っています。
そんなわけで、松山駅より東側では「xxxxM」という番号がつきますし、伊予市駅より南側や予土線はもれなく「xxxxD」です。
ちなみにJR東日本ではABCDEFGHKMPRSTYZと16種類もアルファベットが使われています。
数字部分では、特急しおかぜ号は00xx(xxは号数と同じ。以下同じ)、特急いしづち号(多客時の多度津駅~高松駅のみの区間運転を除く)は10xx、宇和海号は10xx+50(例えば宇和海1号は1051)となっています。
普通列車では、予讃線の松山駅より東側では05xx+10、南側の内子線経由は06xx+20、伊予長浜駅経由は09xx+10で、予土線は08xx+10です。
特急列車のxxは1から、普通列車のxxは基本的に0からで、下りは奇数、上りは偶数です。また、左側が0の場合は全部省略されます。
例えば、特急しおかぜ1号の列車番号はルールに従えば「0001M」なのですが、この列車番号はシンプルに「1M」です。
そしてJR四国の一番の特徴は列車番号が上記の原則に加えて+4000されている列車はワンマン運転です。
ワンマン運転というのは、乗務員さんが運転士さん一人しかいないという意味です。
車掌さんの乗車はありません。
JR四国のワンマン運転は、2両以上の編成でも先頭車両以外は締め切り(乗車できない)になります。
写真は松山駅からの予讃線下り列車の時刻表です。
赤線の部分にご注目ください。
左から、4921D、4643M、1071D、4645D、923Dとあります。
上記での説明を当てはめると左から、
・伊予長浜経由の普通列車(09xx)で車両はディーゼル車(xxxxD)でワンマン運転(+4000)
・内子線経由の普通列車で(06xx)車両は電車(xxxxM)でワンマン運転(+4000)(※)
・特急宇和海21号(10xx+50)で車両はディーゼル車(xxxxD)で車掌さんもいる
・内子線経由の普通列車(06xx)で車両はディーゼル車(xxxxD)でワンマン運転(+4000)
・伊予長浜経由の普通列車(09xx)で車両はディーゼル車(xxxxD)で車掌さんもいる
※伊予市止まりの列車は内子線経由扱い
と読むことができます。
いやー列車番号一つでも面白いですよね!(鉄道好きの一部の方に限るかもしれません!)
さて、生きていく上でまったく必要のない情報をご紹介したところ、ダイヤ改正でどうなるのか。
この記事では予土線を見てみましょう。
予土線下り・上り(宇和島駅→江川崎駅・江川崎駅→宇和島駅)
実はJR四国で最も深刻なの状況の予土線です。
予土線は平成31年にJR四国が発表した営業係数(100円の儲けを出すためにかかる経費)がJR四国管内では最悪の1159となっています。
つまり、100円の収入にかかる経費が1159円となっているということです。
具体的には、1年での収入が9000万円ほどですが、そのためにかかる経費が10億円を超えているのです。
いつ廃線になってもおかしくない状況の中、JR四国はあくまで維持できる方法を模索しています。
具体的なダイヤの変更では、午前中に宇和島駅~近永駅間の区間運転だった上下各2本の列車が統合され、中間くらいの時間に上下各1本に変更されました。
効率化により両方の乗客を集約して一度に運ぶということになります。
また、愛媛県側ではありませんが、高知県側で一部運転区間の取りやめ(窪川駅~江川崎駅)が複数あります。
結果、窪川駅ではこれまで1日6往復の列車の発着ありましたが、5往復に削減されてしまいました。
愛媛県側では、下りの近永駅14時2分発4821D列車が運転取りやめになりました。
上り列車は運転区間の変更があるものの、統合されて1往復減った以外の本数は維持されていて、宇和島駅~近永駅間では下りと上りの本数が異なるという状況になりました。
これは、回送列車の本数が増えてしまった訳で、営業運転するよりも回送の方がまだマシという判断になってしまったことを指します。
※営業運転すると各駅に停車する必要や接客(料金の授受)などのコストが発生します。
加えて、予土線のうち宇和島駅~近永駅は前身の宇和島鉄道が1914年(大正3年)に開業してすでに100年以上が経過しています。
当時の設備まま使っているわけではもちろんありませんが、それでも多少は流用しているわけですので劣化も免れません。
声高らかに路線の維持を訴えるのは簡単ですが、そういった声よりも実際に乗車した事実の方が路線維持には有効です。
今後もずっと営業できるように、毎日は難しくとも機会を見つけて積極的に乗車し応援していきたいものです。
なんと続いちゃう!
さて、今回はJR四国のダイヤ改正について、予土線はどう変わるのかをチェックしてみました。
たぶんに菊池が書きたいことばっかりでしたが、そうはいっても鉄道はやはり残したいもの。
次週は後編として予讃線(観音寺駅~松山駅~宇和島駅)を考察してみようと思います。
つづく!!
○宇和島駅から予土線に乗ろう!
住所:愛媛県宇和島市錦町10
電話番号:0895-22-0175
駅窓口営業時間:5:15~5:30/5:55~17:10/17:20~21:20
※この記事は(株)交通新聞社発行のコンパス時刻表2020年3月号に基づいて執筆されています。旅行等の際は最新の情報を確認してください。