こんにちは。
元書店員でもある水曜日担当の菊池です。
菊池は一体いくつの肩書きを持っているのでしょうか。
ふふ、謎が多い方が人間として魅力的なはず(個人の意見です)。
さて、今回はいつもとちょっと毛色の違う記事をお届けします。
そうです!
元書店員らしくイチオシの書籍をご紹介します。
それはこちら!
小説家の田井ノエルさんが手がける「道後温泉 湯築屋」というシリーズの小説です。
人によってはライトノベルにカテゴライズされると判断する方もいるかと思います。
さて、松山が舞台の小説といえば、夏目漱石の「坊っちゃん」や司馬遼太郎の「坂の上の雲」を連想する人は多いと思います。
やはり定番ともいえる作品ですので、基本的な知識は皆さんご存じでしょう。
ただ、それらの作品って舞台は現代ではないですよね。
今回紹介するこの湯築屋シリーズは出版された時期とほぼ同じ時代(平成の終わりから令和にかけて)の道後温泉やその周辺が舞台です。
ですので、作中での道後温泉本館も第1巻では「もうすぐ改修工事が始まる」ことになってますし、最新刊では「改修工事中」です。
まずは基本として、ざっくりとどういう作品なのかをご紹介しましょう。
この作品は道後温泉にある「湯築屋」と呼ばれる架空の温泉旅館が舞台です。
主人公はこの湯築屋が実家の女子高生の湯築九十九(ゆづきつくも)という子です。
基本的に彼女と彼女を取り巻く人たちで話が展開します。
そして、この湯築屋の宿泊客は基本的に古今東西の神様です。
結界的なやつで一般の人間は来られない仕組みになっています。
また、道後温泉のお話だけあって、愛媛県に伝わる伝承系(昔話)のお話もいくつか絡んできます。
主な登場人物(神物?)は以下の通りです。このあたりの神様の背景は多少知っておいた方が面白いです。
まず日本神話だと、主要人物のひとりでもある「天照大神(アマテラス)」、天照と関係の深い「天宇受売命(アメノウズメ)」、愛媛県の名前の由来といわれている「愛比売命(エヒメノミコト)」あたりです。
伝承系だと郡中(伊予市)の「五色姫物語」と日本三大狸話の一つである「松山騒動八百八狸物語」は押さえておくことをオススメします。
あと、明らかに名前の由来がなんだかわかる「坂上八雲」さんとかも出てくるので、気になる方は調べながら読んでも面白いです。モチーフと関連してるエピソードっぽいものもありますし。
そんなわけで、前置きは長くなりました。
今回の記事は、この作品の舞台に直接行ってみようじゃないかという趣旨でお届けします!
そう、俗にいう聖地巡礼というやつですよ!!
湯築屋の舞台を巡る!
作品の舞台となる湯築屋は、具体的な場所は道後温泉のどこかくらいにしかわかりませんが、作中の描写を拾っていくと道後温泉駅から伊佐爾波神社へ向かう坂道の途中にあるとされています。
また、中嶋神社がご近所であることから、「ふなや旅館」のあたりじゃないかと思っています。
多分この辺だと思いますが、湯築屋は神様など選ばれた方しか立ち入ることができないことになっていますので、どこにあっても多分気付かないでしょう。
ついでに、菊池は伊佐爾波神社で初詣をしてきました。
湯築屋の面々も初詣は伊佐爾波神社へ行っているとあるので、これもこれで聖地巡礼!
まあ、それを抜きにしても大変良い景色でした。
主人公の九十九は高校生(ストーリーの進行で進級します)なのですが、彼女がクラスメートと時折だべっているのが道後温泉駅のスターバックスコーヒーです。
スタバでだべるとか割とお金持ってるな!とか邪推してしまいますが、もしかして今は普通なのでしょうか?
路面電車での移動シーンは多いので、道後温泉駅は割とよく登場します。
駅前でのエピソードだと、湯築屋に宿泊に来たギリシャ神話のゼウス神を駅前の足湯に案内するシーンがあります。
この時、商店街の入り口で買ってきたじゃこカツも食べるのですが、足湯に浸かってじゃこカツを食べるギリシャ神話のゼウス神……。
作中でのキャラクター付けも相まって、とてもシュールな気がしますね。
まあ、それが面白いところなのですが。
ゼウス神は別のエピソードでも登場し、その際は奥さんのヘラ神や娘さんのアフロディーテ神(とその彼氏)と松山城へ行きます。
ロープウェイ街の霧の森菓子工房で霧の森大福を食べ、松山城を観光しています。
「霧の森大福」は菊池が住む四国中央市が誇る超人気和菓子なのはご存じだと思います。
松山のロープウェイ街にある「霧の森菓子工房 松山店」では、いつも行列が出来る人気っぷりです。
しかし、作中では「神様効果」であっさり買えるのです。うらやま!
その先のロープウェイで松山城へ行く話はこちらの記事をご覧ください。
基本的に道後か松山市の中心部で話は進むのですが、伊予市の五色浜へ行くエピソードもあります。
主人公の九十九は高校生なので基本的に移動手段は公共交通機関です。
具体的にはほぼ伊予鉄です。
五色浜へ行くには松山市駅から郊外電車(郡中線)に乗って郡中港駅へ行き、そこから徒歩です。
同じ行程で行ってみました。
が!
今回の取材日!!
風が!!強い!!!
五色浜の姫伝説は本編に大いに関わってくるので予習しておくといいですよ。
白いカニとか。
あと、郡中港駅から五色浜まで15分くらいあるのでご注意を。
今回の取材(兼観光)では伊予鉄の1日乗車券を使って移動しました。
伊予鉄の1日乗車券には、松山市駅のいよてつ高島屋の屋上にある大観覧車「くるりん」の1回利用券が付いています。
路面電車の1日乗車券は700円(郊外電車やバスも含めると1800円)なのですが、「くるりん」も1回700円なので、実質路面電車にただで乗れる大変お得な値段です!
ちなみに、湯築屋の従業員であるコマ(狐の妖怪)と主人公のクラスメートの刑部君(狸の妖怪)がここでデートするエピソードもあります。
取材した日は風があまりに強かったので乗りませんでしたが、天気のいい日は伊予灘までよく見えるので、休憩がてら空の旅を楽しんでみるのもいいと思います。
ひとり観覧車もそれはそれでいいものです。(個人の意見です)
そんなわけでいくつかのエピソードの舞台を巡ってみました。
愛媛県のメディアっぽかったですかね?
このほかにも、作中では愛媛に住んでいればニヤッとするシーンはたくさんあります。
愛媛(特に松山)のデートスポットを巡るガイドブックとしても活用できますので、まだ読んでないという方はぜひ一読してみてはいかがでしょうか!
○物語の舞台はここから。道後温泉(本館)
住所:松山市道後湯之町5-6
電話番号:089-921-5141
営業時間:6:00~23:00