みかんやキウイ、また、イチゴや栗の生産で有名な愛媛の農業。
実はアボカドでも、数少ない国内の生産地であることを知っていましたか?
愛媛のアボカド生産は、松山市高浜から始まった
森のバターと言われ、栄養価が高く人気の果物であるアボカド。
アボカドといえばメキシコや中央アメリカからの輸入が主で、国産のアボカドがあること自体あまり知られていないかもしれません。
しかし現時点ではわずか1%であるものの、日本でもアボカドが生産されています。
その産地ランキングはみかんと一緒で、第一位は和歌山県、二位が愛媛県。それほど、もともと熱帯果樹であるアボカドは温暖な気候で育ちやすく、愛媛県で育てるのに適した作物といえるんです。
愛媛でのアボカド栽培のきっかけとなったのは、松山市高浜の農園。
1992年の台風で園地の木が枯れ、木を植え替える際にアボカドの木を記念樹として植えたところ、あまり手入れをしていないのにかかわらず長年たって実がなっていたそうです。
それを見た松山市の農林水産課の職員がアボカドに着目。2008年頃から、日本一のアボカドの産地化を目指して取り組み始めました。
現在では高浜地区や忽那諸島といった松山市海岸部で栽培が広がり、約150軒の農家がアボカド作りをしているそうです。
松山市は対象者への苗の分譲や講習会を行っており、今でも県内のアボカドは主に松山市から出荷されていますが、愛南町でも「NPO法人ハートinハート なんぐん市場」の活動により栽培への取り組みが行われています。
アボカド生産のメリット
アボカドは寒さに弱く2℃以下になると枯れてしまうため、小さなうちは冬越しに気をつけなければなりません。温暖な地域とはいえ国内ではハウス栽培で育てる農家もあります。
しかしそれ以外の面では、アボカドは柑橘より水やりや肥料の手間が少なくてすみ、害獣被害にも遭いにくいため比較的楽に育てられるのそうです。
それでいて99%を輸入に頼っているアボカドは、単価が高く、作れば売れるという状態で穴場の作物。
供給が多く値段が低迷しがちな柑橘の転換作物として、農地をアボカドにあてる柑橘農家は今後も増えていくかもしれません。
松山で生産されているのはどんなアボカド?
私達が見慣れているメキシコ産アボカドは、「ハス」という品種。こちらも松山で生産されていますが、松山での主要品種は、フェルテ、ベーコン、ピンカートンの3種類です。
「ハス」の皮は黒っぽいですが、これらのアボカドは、完熟の状態でも明るい緑色をしています。
まだ食べてはいけないような気がしてしまいますが、国産アボカドが一般に流通するようになってきたら、緑色のアボカドにも慣れるかもしれませんね。
また、これまではハスの一種類しか食べる機会がありませんでしたが、油分が多く苦みの少ないフェルテ、濃厚で皮ごと食べられるベーコン、芋のようなほくほくしたピンカートンと、アボカドの種類によって味の違いを楽しむことができるようになるのも楽しみ。
柑橘のように、愛媛県のオリジナル品種が生まれる日も遠くないかもしれません。
愛媛産アボカドのPR
愛媛のアボカドが市場に出回り始めたのはここ数年ですが、国産アボカドの産地として愛媛を売り出すイベントも既に行われています。
2015年には松山市で第1回「日本アボカドサミット」が開催され、流通業者や消費者約900人が集まりました。
2018年には、東京の銀座千疋屋で「愛媛県産アボカドフェア」が開催され、愛南町の農家の方々が愛媛のアボカドを紹介しました。
1Fフルーツショップではアボカドの試食会と販売、2Fのフルーツパーラーではアボカドサンドイッチの販売が行われ、まだ珍しい国産アボカドの産地として愛媛を知ってもらう機会になりました。
出典:愛媛県産「アボカド」フェア開催いたします - 銀座千疋屋
愛媛のアボカド生産量は第一位の和歌山県にはまだまだ及んでいませんが、今後、みかんのみならずアボカドの産地でもあることが知られるようになっていくといいですね。
通販で愛媛産アボカドを買ってみよう
愛媛県産アボカドは、現時点では産地直売所・産直コーナーのほか、ネット通販で手に入れることができます。
そのうち、近年人気の「食べチョク」は、農家と直接商品を売買できるオンライン・マルシェ。ここでも愛媛県産のアボカドが販売されており、「幻の国産アボカド」1kgを1,875円(送料別)で買うことができます。
現在は収穫期でないため取り扱っていませんが、11月中頃に注文受付を再開するそうですよ。
出典:幻の国産アボカド1kg/「愛媛県産」:愛媛県産|食べチョク
出品者は、松山市の「順ちゃん農園」。減農薬などの基準をクリアした「エコえひめ」認証を取得した柑橘を栽培する農家さんで、アボカドは無農薬で栽培しています。
まとめ
美味しくて健康にも美容にも良く、毎日食べたいアボカド。
生産拡大を目指す愛媛県での収穫量は、年々増加していきそうです。
地元で採れたアボカドが、普通に買えるようになっていくといいですね。