こんにちは。
突然ですが、菊池もKITONARUライターになってほぼ2年。
それを記念して、今週からたぶん3週もしかしたら4週にわたって超大型企画「トラベルライター菊池がゆく!えひめ鉄道旅スペシャル」をお届けしたいと思います。
そうなんです。
いつもの“カロリー盛り盛りで美味い!”な記事から離れ、トラベルライターとしてホントのホントに愛媛の旅行記事を書こうと思います。
まあ、菊池は鉄道大好きマンなので、これを口実に記事書いてやろうという魂胆も見え隠れしていますが……!!
さて、さっそく本題へいきましょう。
まず、第1回目の今回はタイトルにもあるように、愛媛県を走る観光列車「伊予灘ものがたり」の乗車記をお届けします。
「伊予灘ものがたり」は鉄道に興味のない方でも名前くらいは聞いたことあるのではないでしょうか。
予讃線の松山駅と伊予大洲駅・八幡浜駅を走っている観光列車です。
「伊予灘ものがたり」は4つの種類があります。
・朝に松山から大洲へ向かう「大洲編」
・昼に大洲から松山へ向かう「双海編」
・昼に松山から八幡浜へ向かう「八幡浜編」
・夕方に八幡浜から松山へ向かう「道後編」
いずれも人気があり、チケット(※)を確保するのが難しい列車です。
(※)この記事では、わかりやすく表現するために、「伊予灘ものがたり」に乗車するために必要なきっぷなどのことを、便宜上「チケット」表記します。
ちょっと古いデータですが。2015年の日経新聞社の調査によると、「おすすめの観光列車ベスト10」で堂々の1位を獲得しています。
その理由を探るべく、今回は入手困難ともいわれている「道後編」のチケットを、なんと(自腹で)ゲットできましたので乗車レポートをお届けします!
道後編の出発地点は八幡浜駅
今回の「道後編」は八幡浜駅発松山行です。
通常、列車で八幡浜駅から松山駅まで行くとすると、特急の宇和海号に乗るのが一般的です。
列車によって多少の前後はありますが、だいたい50分くらいが所要時間です。
しかし、今回乗車する伊予灘ものがたりは八幡浜駅を16時6分に出発して松山駅に到着するのは18時20分。
約2時間15分もかけて進みます。
のんびり行くのも旅の醍醐味ってやつですね。
八幡浜駅には15時半頃に到着。
クラシックな待合室で列車の到着を待ちます。
なお、この待合室は誰でも利用できます。
いよいよ、「伊予灘ものがたり」の列車が到着して乗車が始まりました!
観光列車はだいたいペアか4名グループで利用することが前提の対面席やボックス席が多いのですが、「伊予灘ものがたり」には一人旅向け使えるカウンター席もあります。
菊池は一人旅なの、この席を利用させてもらいました。
ちょっと専門的な話になりますが、「伊予灘ものがたり」は実は全席グリーン席の臨時普通列車扱いなので、乗車するだけなら乗車券(八幡浜駅から松山駅の場合)の1,280円とグリーン席券の980円の合計2,260円だけで乗ることができます(取材当時)。
通常、観光列車というのはこれに加えて特急券なども必要になるので、「伊予灘ものがたり」は実にリーズナブルな観光列車なのです。
これも人気の一つだと思います。
ちなみに、食事はオプションです。
今回乗車した「道後編」の食事は20食限定のアフタヌーンティー(3,000円)です。
もちろん頼みましたよ!
このアフタヌーンティーは事前予約なのですが、車内で注文できるアラカルトメニューも充実しています。
なので「時間と空席があったから乗っちゃえ!」というパターンもありなのが強みです。
さあ、いよいよ旅の始まりです。
八幡浜駅を定刻に出発すると、まずは地域の方のお見送りがあります。
線路沿いのお家から一家総出のお見送りがあったり、ガソリンスタンドの従業員の方からのお見送りもあります。
出発に際してこうやって地域の方が手を振ってくれると、“ココロも満タンに”なりますよね。
もうこの時点で楽しい旅は確定したようなもんです。
そうこうしていると、予約していたアフタヌーンティーが配膳されてきました。
オシャレ!
スコーンにつけて食べると美味しいブルーベリーのジャムは、小さいながらも個別包装の瓶詰めで出てきます。
つまり、お持ち帰り前提というわけです。
めっちゃ美味いよ。
長いトンネルを抜け、山を越えて肱川を渡るときに遠くに大洲城が見えてきました。
大洲城では、ちょっと遠いのですがその時間に観光していた方も含めて、スタッフの方が旗を振ってくれています。
写真では遠くて見にくいのですが、実際には旗がたなびいている様子がよくわかります。
その先、伊予大洲駅から愛ある伊予灘線(予讃線海周りの愛称)に入ります。
最初の五郎駅は通過駅なのですが、地域の方がタヌキ駅長に扮して歓迎してくれます。
また、沿線のご家庭もシャボン玉やパネルをふって出迎えてくれました!
列車も、通過とはいえ歩くような速さまで減速してくれます。
ただ、伊予長浜駅までは北向きに走行していたので、車窓は東西になります。
菊池の席にめっちゃ西向きだったので正直なところ西日も結構きつかった……。
しかし!
ここからは東へ進むため車窓は南北になって西日も気になりません!
伊予灘の絶景を堪能しながら、ゆっくりと列車は進みます。
しかも、きちんとフォトスポットなどは減速して教えてくれるので安心してください。
伊予長浜駅の次の駅である喜多灘駅は、大洲市と伊予市の境目がホームにあります。
「伊予灘ものがたり」は2両編成なのですが、1両目は伊予市に、2両目は大洲市になるように停車してくれました。
ドアは開きませんが、前の車両と後ろの車両で違う自治体にいるという、非常にレアなケースが体験できます。
続いて到着するのは、いまや日本一フォトジェニックな駅なんじゃないかというくらい人気の下灘駅に到着。
ここではドアも開き10分ほど停車します。
どちらかというと、乗車している我々よりも、下灘駅を見学に来ている人たちへのサービスの方が大きいように思えました。
※伊予灘ものがたりのチケットを持っていない人は見学であっても車両への立ち入りはできません。
多くの人に見送られて、続いて止まるのは伊予上灘駅。
犬の駅長さんたちがお出迎えしてくれます。
こちらは観光客の人はいないので記念写真も独占できますよ。
ここまで来ると日も沈み始めて旅も終盤です。
伊予市駅の一つ手前の向井原駅で、伊予大洲駅を出てから別れた内子経由の線路と合流し、伊予市駅へ。
行き違いで止まったりしながら、列車はゆっくりと夕日のしずむ頃に松山駅へ到着しました。
2時間20分の旅の終点です。
ちなみに、今回誕生日がわかるきっぷで乗車したのですが、それを改札した際に車掌さんがメモっていてくれて、こんなカードもいただけました!
この旅は、普段の旅とは違った体験があるのですが、「伊予灘ものがたり」はなぜここまで人気なのでしょうか。
それはきっと、伊予灘を眺める景色だけではないと思います。
沿線では、駅であらかじめ待っていてくれた人はもちろんですが、線路の近くの田畑で農作業をしている人や、たまたまその日その時間に線路の近くに居合わせた人、並行して走る道路の車の助手席や後部席にいる人、みんな、誰とも知らない乗客に向かって手を振ってくれるのです。
この体験こそ、「伊予灘ものがたり」に乗車した人が虜になる理由ではないでしょうか。
「愛媛に住んでいるのに愛媛の観光列車に乗るの?」なんて言わずに、ぜひ一度乗車してみてください。
もっと愛媛のことが好きになると思いますよ。
次回予告
綺麗にまとまった!
だが、しかし!
水曜日の菊池がこんな綺麗な記事だけでゆるされるわけもなし!
下の写真は「伊予灘ものがたり」に乗車する前日の夜に、いろいろあって疲れ果ててホテルにたどり着いた菊池です。
なぜこんなに疲労困憊なのか!?
次回から、この伊予灘ものがたりに乗る前の旅が明らかに!!
ご期待ください!
○伊予灘ものがたり道後編始発「八幡浜駅」
住所:八幡浜市江戸岡1丁目
電話番号:0894-22-0495
WEB:https://iyonadamonogatari.com/
駅窓口の営業時間:5:30~21:50